子どもたちの遺言

       谷川俊太郎・詩   

       田淵章三・写真

        佼成出版社

 

谷川俊太郎さんは、

77歳の老人の目で客観的に見ているのだが、写っているものたちに主観的に同化していくときがあるそうだ。年をとるにつれて、子どもの身になって、あるいは若者の身になって詩を書く方が書きやすいと思う事が多くなったそう・・・。大人の言語がだんだんデジタル化してゆくのに反して子どもの言語はアナログにとどまっているという。

はじめ、作者が子供たちに向かって遺言を書く発想だったが、死に近づきつつある大人よりも、まだ死からはるかに遠い子どもが大人に向かって遺言するほうがこの時代ではずっと切実ではないか・・・と、作者は発想を転換したそう。生まれたばかりの赤ん坊に遺言されるような危うい時代に私たちは生きている。そう作者は感じてこの作品は出来上がっている。

 

田淵章三さんは、

1年にわたり、0歳~20歳までの子どもたちを撮りおろしている。

子どもたちと正面から本気で向き合い、本気で笑い、本気で怒り・・・逆に傍観者に徹したそうだ。ファインダーの中のこどもたちは実に魅力的だったという。